山場を迎えております。
『ノルウェー珍道中』第11話。
2016年にした冒険のお話です。
前回のお話はこちら。
NZのトレックは、森かビーチが多かった。
それに比べると、ノルウェーのフィヨルドは
アップダウンがかなり激しい。
時間もかかるし、体力も消耗しやすい。
でも、こんなに歩き続けたことはなかったかな。
すでに9時間ほど歩いている。
今日は、色んな道を通って来た。
樹の根っこをガシガシ這い上がる道。
ツルツルした岩肌を、ヨチヨチ歩く道。
道とは呼べない道がほとんど。
でも、歩いてしか行けない道。
美しかった。
足首はだいぶ疲れて来た。
ノルウェー人は最強だなぁ。。。
すると、次の瞬間、
今まで通って来た‘道’が
序の口だったことに気づいた。
突然、目の前に道がなくなったのだ。
足を置く場所がない。
あるのは、70~80度ぐらいの斜面。
そこに取り付けられたチェーン。
ちょっとしたロッククライミングなら
私は出来る。
だけど、足を引っ掛ける隙間もない斜面。
2~3m先に向こう岸っぽいものが見える。
理解に時間がかかった。
他に道があったわけではないし、
橋が落ちた感じでもない。
ジャンプできる距離でもない。
つまりは、
斜面とチェーンを使わないと
先に進めない。
なぁに?この、スーパーマリオとか
ドンキーコングみたいな状況?
ジャンプ力が増すアイテムでも
落ちてるのか?
いや、ないない。
緩やかにパニック。
チェーンから下には地面らしいものが見えない。
樹は生い茂ってる。
冗談抜きに、滑ったら死ぬでしょ?
色々試すが、やっぱり滑りやすい。
落ちても、誰か助けに来るようなとこじゃない。
当然後ろから、ハーイ!って人が来るとは思えない。
もう、かれこれ5時間は人に会っていない。
ネガティブな考えは、
自分をどんどん追い詰める。
今は夜9時前。
少し薄暗くなって来た。
戻るという選択肢はないだろう。
だって、6~7時間かかるからね。
渡りきる以外に道はない。
とにかくパニック。
次回は、
第12話
「パニックはこうして乗り越える。」
またお会いしましょう。
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